「使わない人」は、実はまだ多数派
会社員のAI業務利用率は38.2%という調査がある。裏を返せば、6割以上はまだ仕事でAIをまともに使っていない。中でも「完全に使っていない」人は48.5%と、ほぼ半分を占める。
つまり「まだエクセルカタカタしてるの?」と言われる側は、実はマイノリティではない。今のところは、まだ多数派だ。
ただし、この状況を安心材料にするのは危険だと思う。企業側の調査では、71.1%が「AIを使いこなせない社員がいることで、業務に支障が出ている」と回答している。多数派であることと、問題視されていないことは、まったく別の話だ。
さらに踏み込んだデータもある。PwC Japanの調査では、業務でAIを活用している中間管理職は、そうでない人と比べて年収が約1.2倍という結果が出ている。「使っているかどうか」が、すでに評価や給与という目に見える形に変換され始めている。
そろばんと電卓の話をしたい
雑学として、1967年に日本で「そろばん対電卓」という有名な対決が行われたことがある。当時発売されたばかりの電子式卓上計算機(電卓)と、熟練のそろばん名人が計算速度を競う企画だった。
結果は、単純な足し算・引き算ではそろばんが勝った。手に馴染んだ道具の速さは、初期の電卓を上回っていたのだ。
ただしそれは、あくまで単純計算の話だった。複雑な計算になればなるほど電卓が優位になり、何より電卓は「訓練しなくても誰でも同じ速さで計算できる」という決定的な強みを持っていた。そろばんが一人前になるには何年もの修行が要るが、電卓は買った日から使える。
結局、数年のうちに経理の現場からそろばんは急速に姿を消していった。当時「そろばんの方が速い場面もある」というのは事実だったが、それは長期的な趨勢を変える理由にはならなかった。
今の「エクセル手入力」と「AIに下処理させる」の関係も、これに近いと思う。手慣れた人が丁寧に作ったエクセル表は、確かに今は精度も速さも十分かもしれない。でも「訓練なしで、誰でも同じ速さを出せる」という側の強みは、時間が経つほど効いてくる。
自分の実務の中でAI活用をどう組み立てているかは、サイトのWorksでも紹介しています。→ SHKAI2706 Works
「使う人」と「使わない人」で何が違うのか
AIを使う人・使わない人の差の比較
- 単純作業への時間:使わない人は毎回ゼロから手入力・手作業。使う人はAIに下処理させて確認・修正だけで済ませている
- 評価への影響:71%の企業が「AIを使えない人がいることで業務に支障が出ている」と回答。一方でAI活用の中間管理職は年収が約1.2倍という調査も
- 社内での立場:使わない側は「使えない人」として分類されやすくなってきている一方、使う側はAI活用の成功事例として社内で共有されやすい
- 今後の伸びしろ:AI未活用者はまだ48.5%と多数派。裏を返せば、今から使いこなせるようになれば、まだ「少数派として差別化できる」余地が残っている
ここで重要なのは、「今すぐ全部AIに任せろ」という話ではないということだ。判断が必要な部分、責任を持つべき部分は人間がやるべきで、AIに丸投げした結果の失敗も普通に起きている。あくまで「単純な下処理・繰り返し作業」をどちらがやるかの違いが、じわじわ差になっているという話だ。
あなたの状況別、今日からできること
エクセル作業が多いが、AIを使ったことがほとんどない人
いきなり全部を変えようとしなくていい。まずは「関数を組む」「表の体裁を整える」「データを要約する」など、判断の要らない反復作業だけをAIに任せてみる。ChatGPTやClaudeに元データを貼り付けて「この表を集計して」と頼むだけでも十分に体感できる。
AIは使っているが、Excel作業には活かせていない人
ChatGPTやClaudeはテキストのコピペで十分に集計・分類・整形ができる。Excel専用の機能(Copilot for Excelなど)を新たに覚える前に、今使っているチャットAIにデータを貼り付けるところから試すと、導入のハードルがぐっと下がる。
部下や後輩にAI活用を広めたい管理職の人
「使いこなせないと評価が下がる」という煽り方は逆効果になりやすい。むしろ「この単純作業、AIに任せたら15分が3分になった」という具体的な成功体験を1つ共有する方が、周囲の行動が変わりやすい。
すでにAIをがっつり使いこなしている人
そろばんの例が示す通り、道具の差は時間が経つほど広がる。今のうちに「AIに何を任せて、何を自分で判断するか」の線引きを言語化しておくと、周囲に教える立場になったときにも強い。
もっと詳しくAI活用の実務ノウハウを知りたい方はこちら。→ SHKAI2706 AIライティングサービス
まとめ
「まだエクセルカタカタしてるの?」は、単なる煽り文句に聞こえるかもしれないが、その裏には「71.1%の企業がAI未活用者による業務支障を感じている」「AI活用者の年収が約1.2倍」という、もう笑って流せない数字がある。とはいえAI未活用者はまだ48.5%と多数派で、今から差別化する余地は十分に残っている。そろばんが電卓に置き換わったときと同じで、大事なのは「今の精度がどちらが上か」ではなく、「訓練なしで誰でも同じ速さを出せる側に、時間はどちらの味方をするか」だと思う。
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